【スポーツ傷害とは(外傷・障害)】痛みと特徴

スポーツ傷害・障害

 スポーツ傷害とは

「スポーツに関連して起こる運動器(骨・筋)のトラブル」の事で、スポーツによる「外傷」とスポーツを続けることで起きる「障害」の総称です。

ケガ・痛みの原因により「外傷」と「障害」に分類されます。

 スポーツ外傷

転倒・衝突など1回の外力による組織の損傷                    

例)骨折、脱臼、打撲、捻挫、肉離れ等

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カラー写真で学ぶ四肢関節の触診法

成長期スポーツ障害

比較的長期間に繰り返される運動負荷による組織の損傷

例)疲労骨折、関節炎など

腰椎分離症 患者さま提供画像

<小・中学生で注意する骨・軟骨障害>

成長期の特徴

成長期は成熟した大人になる準備段階であり、決して大人のミニチュア版ではありません。

準備段階であるがための特徴があり、この特徴を理解することがスポーツ障害の「予防」につながります。

1)骨が柔らかい(弱い)

骨が柔らかいために、若木がぐしゃっと曲がるような骨折(若木骨折)を起こすことがあります。

骨折の画像診断 
2)自然治癒力が高い

一般的に、治りは早いです。(しかし、治りにくい部位もあります。治さずそのまま放置してしまうと、のちのち機能障害が残ってしまうことがあり、要注意)

骨端線(成長線)が存在

成長期の骨は、骨の端(骨端部)に骨端線(成長線)があり、そこに骨端軟骨(成長軟骨)が存在し、ここから骨が成長していきます。

骨端部は骨成長に大変重要ですが、成長している間は、とても負荷に弱く、外傷や障害が起こりやすくなります。

長軸方向への牽引力(ひっぱり)にはある程度の強度がありますが、前断(引違い)力に対しては極めて弱いです。

特に「growth spurt(身長増加促進)期」には弱くなると考えられています。

(成長には個人差はありますが、女子では小学校の10歳頃から身長が伸び始めて中学校終わり頃に、男子では中学校の13歳頃から身長が伸び始めて高校生終わり頃に、骨端線が閉鎖し身長の伸びも止まり「成人身長」になるといわれています)

柔軟性の低下

身長が伸びる時は、まず「骨」自体の長さが伸び、その後に「筋肉」が骨の伸びを後追いする形で伸びます。                      

身長(骨)が急激に伸びると、筋肉の発達が追いつかず、結果として柔軟性が低下し、体が硬くなってしまいます。   

成長期では骨がまだ弱く、それに反して筋肉は引っ張られて硬い状態であることが多いので「疲労骨折」が起こりやすく、また、筋肉が骨を引っ張りすぎて成長期特有の膝やカカト等に痛みを起こす「骨端症」も起こりやすくなります。

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成長期の代表的なスポーツ障害

<骨端症(骨端核障害)>                                        骨端軟骨(骨の端の軟骨)は、スポーツ動作により、繰り返し引っ張られたり、捻じられたりする事で傷つきます。  

傷が軽度であれば自然修復されますが、修復される前に更に傷つくことを繰り返すと、

カカトの痛み

傷ついた部分が、ハガれて修復できない状態になってしまいます。

傷ついた部分が、運動するたびに、本体の骨とぶつかったりスレたりして炎症を起こし、痛みや腫れを起こしてしまう状態を「骨端症」と呼びます。

painful joints illustration

代表的な成長期スポーツ障害を紹介します。

 リトルリーグショルダー

 上腕骨の肩に近いところの骨端症です。

リトルリーグ(少年野球)の特に投手に多い障害のためこのような名前がついていますが、バレーボールやテニスなど投球に似た動作をするアスリートにもみられます。

野球肘

 ・内側型

 肘が下がったフォームで投球し続け、肘に外反のストレスがかかり続けると、肘内側の骨部が引っ張られて、骨端部が開いてしまうために生じます。

 ・外側型(要注意!!)

 肘の外側に強い圧迫やねじれのストレスがかかり続けた場合、肘関節の骨同士(上腕骨小頭と橈骨頭)が衝突して、上腕骨側に生じます。

痛みがあるまま継続してしまうと損傷した部分が離れてしまいます(離断性骨軟骨炎)。      この遊離した骨軟骨片が、関節の中を動きまわる状態が、“関節ねずみ”と呼ばれる状態です。

関節ねずみが関節の中を動きまわることで、周囲の関節軟骨を傷つけてしまったり、関節にはまり込んで激痛を生じてしまったりした場合は、外科的対応が必要となる事があります。

 リトルリーグショルダーや野球肘(特に外側や後側)の治療は、直ちに投球動作を中止することが必要な場合があります。

オスグッド病(Osgood-Shlatter病)

スネの骨(脛骨)の膝関節近くで生じる骨端症です。

この部分は、選手本人が自分で押して痛みを確認できる場所なので、スポーツ活動時に痛みがない段階でも、押して痛みがあるようであれば、練習を控えたり、太もも前のストレッチ等を十分行うことが必要です。

一般的には成長が止まる頃には症状が落ち着くといわれますが、、、痛みが再発することも多く、、酷くなると、、はがれた軟骨部が骨化して炎症が継続してしまう場合には、骨片を取り除く外科的処置が行われることもあるようで、要注意!

腰椎疲労骨折(腰椎分離症)

成長期のスポーツ活動により腰を反らしたり、捻ったりする動作が繰り返されることによって、腰椎(腰骨)へのストレスが加わるために生じます。

バレーボールのスパイクや野球のスイング、競泳などさまざまな動作で起こるとされています。

腰の一番下(骨盤部分との境目)の第5腰椎に最も多く発症します。

早期に診断ができれば、安静と硬いコルセットをしっかり装着することで、骨癒合が期待できるようになっています。

骨癒合しなくとも、体幹の筋力を強化することなどにより、支障なく競技活動を継続していけるアスリートが多いことも事実ですが???

腰椎分離が存在してしまうと腰痛を繰り返す頻度は高くなりますので、要注意!

成長期に腰痛が継続する場合には、なるべく早期に診断を受けた上で今後の方針を決定することをおすすめします。


女性のスポーツ障害の特徴

女性の運動器

骨盤が広い

個人差はありますが、女性は妊娠、出産に対応できるよう、男性に比べ骨盤の幅が広くなっています。

X脚
参考:宗田ら 復帰をめざすスポーツ整形外科 メジカルビュー社 577

女性では、男性より上前腸骨棘(こしぼね)と膝蓋骨(膝の皿の骨)の中心を通る線と膝蓋骨の中心と脛骨粗面を通る線の角度(Q-angle)が大きいといわれています。

関節が柔らかい

全身の関節弛緩性検査の平均値が、女性で男性より大きいことがわかっています。

筋力が弱い

筋力の大きさは、筋量に比例しているため、成人女性の筋力は男性の60~65%だといわれています。

女性に多いスポーツ障害

同じ競技種目の中で、スポーツ外傷・障害の発生率に男女差があることが明らかになっているものは多くありません。しかし、女性の運動器の特徴が関係しているとされる外傷・障害があります。

アライメントが関連しているもの

●膝蓋大腿関節の外傷・障害(膝蓋骨の脱臼・亜脱臼・膝蓋軟骨軟化症):膝お皿の痛み

女性の発症は、男性の3倍との報告があり、10~20歳代に多い外傷・障害です。

女性は男性よりX脚傾向のため、膝蓋骨と大腿骨の関節面の圧が不均一になり、軟骨が損傷されやすくなりします。  

関節が柔らかいことも影響しているとされています。

関節弛緩性が関連しているもの(関節がゆるい)

捻挫

関節の弛緩性が高いアスリートは捻挫をしやすいのですが、捻挫をしても元々関節が緩いため、多少の不安定性があっても問題なくスポーツ活動を行えてしまうことも多いです。

肩の亜脱臼

関節弛緩性が高いアスリートは、オーバーヘッド動作の際に肩の不安定性を感じることがあります。          

競技によっては、関節の弛緩性が優位に働くものもありますが、不安定のままで動かし続けると、周囲の靭帯が伸びきってしまったり、関節軟骨への負担が大きくなったりして、大きな外傷につながってしまうことがあります。

周囲筋(肩のインナーマッスルなど)の強力強化を継続的に行うことが大切だと感じます。

骨強度が関連しているもの

疲労骨折                                         アスリートの疲労骨折の男女差については、女性が多いとするもの、男女差はないとするものの両方があります。

しかしその中で、無月経を伴う女性アスリートは、骨がもろくなり、疲労骨折のリスクが効率になることはすでに明らかにされています。

jyu23-02.pdf (gender.go.jp) 

 女性アスリート外来 設立ものがたり1 あまりに多かった「無月経」のアスリート | 女性スポーツオンライン (juntendo.ac.jp)                        

複合的な要素が関連しているもの

膝前十字靭帯損傷(ACL)                                  これはすごく問題で、本州最南端の当院でさえ、年に1~2例の受傷があります。

参考:園部ら スポーツ外傷障害術後のリハビリテーション 運動と医学の出版社 117

女性で、男性の2~8倍発症との報告があります。

中でも、体育館スポーツ(バスケットやバレーボール)中の受傷が多いことや、女性のほうが単独プレー中に受傷することが多いといわれています。(非接触型 約80%)

女性の方が多い要因としては、X脚、関節弛緩性が高い、着地動作の違い等。

女性は、膝の屈曲が小さく外反が大きい(Knee-in toe-out)ことなどが挙げられていて、着地時にKnee-in toe-outにならないようなトレーニングなどの、予防に向けての介入がとても重要だと感じます。

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整形外科・スポーツ整形|北出病院 (reimeikai.com)

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参考

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和歌山のロケット発射 バスで見学場へ、駐車場確保(産経新聞) – Yahoo!ニュース

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