【膝 前十字靭帯損傷について】術後のリハビリも可能(医接連携が必要)です

スポーツ傷害・障害

スポーツ選手の「膝前十字靭帯損傷(以下 ACL)」は、多いといわれています。(本州最南端の当院でも年に数例経験します)

その数は年々増加傾向にあり、また損傷後にスポーツ復帰出来たとしても、術後の再損傷がかなり高頻度に生じているとの報告があります。

<最近の報告>として

・ACL 断裂後に、保存療法による 競技復帰を強く希望した選手に対する追跡調査で、その後、90%以上の選手が「膝崩れや恐怖心」より「パフォー マンスの低下」を自覚していた

・シーズ ン後に ACL 再建術を実施したところ高頻度で半月板損傷 や軟骨損傷を認めた(保存療法による競技復帰は推奨されない)

・ACL再建術が広く 行なわれ,良好な関節安定性獲得も報告されるようになっているが、競技スポーツ復帰率については 50〜60 % 台の報告が多い

ACLは関節内靭帯のため血流に乏しく、通常、切れたACLが自然癒合することは無といわれています。

永続的に「膝の不安定性と不安感」が残るので、一般的にスポーツ復帰を目標とした場合、外科的対応が必要だと考えられています。

そして、ACL再建術は受傷後早期(3∼6ヵ月以内)に行うこと。および、術前から積極的にリハビリテーションを行うことが推奨されています。

<参考本>

・月刊スポーツメディスン  ブックハウスHD社

・福林ら アスレティックリハビリテーションガイド 光文堂

・AndrewBiel ボディ・ナビゲーション 医道の日本社

・整形外科リハビリテーション学会 整形外科運動療法ナビゲーション メジカルビュー社 

・園部ら スポーツ外傷障害術後のリハビリテーション 運動と医学の出版社 

前十字靭帯の役割について

ACLは、膝関節の中で大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯で、その役割は、主に大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後安定性)と、捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋安定性)の2つの制御があります。

つまりACLを損傷すると、膝は前後方向と回旋方向の2方向に、弛く・不安定になってしまいます。

損傷の機序について

スポーツ外傷として頻度が高く、ジャンプ後の着地、疾走中の急激な方向転換・ストップ動作、相手との衝突などによって、膝関節に異常な回旋力が加わって損傷することが多いです。

受傷時には『ブツッ』という断裂音(だんれつおん)を体内に感じたり、膝が外れた感じがします。 そして、激しい痛みを伴います。

そして、徐々に膝が腫れて、曲りにくくなります。

膝の関節内に出血が見られることは、ACL損傷の大きな特徴の一つで、膝腫れの原因が血液である場合は70~80%が前十字靭帯損傷だとも言われています。

怪我をしてしばらくすると、膝の腫れも次第におさまり痛みは軽減しますが、膝をひねったり、急に止まろうとしたりする時に「膝が抜ける」「膝がはずれる」「膝がずれる」などといった不安感が出るようになります。(半月板や軟骨に損傷がなければ、痛みは軽いか無いこともあるようです)

受傷後の対応について

Q1:治療にはどんな方法が?

初めての場合には、ACL損傷用のサポーターを使い、

関節を保護しながら、

松葉杖を使っての生活(当院には貸し出し用の「松葉杖」「サポーター」あります」。

通常は2〜3週間すると、痛みが引いて日常生活に戻れます。(当院でも、高校三年生の前半にACLを損傷後、最後の試合まで乗り切って、三年生後半に外科的対応をした選手達が数名います)

早期スポーツ復帰の必要がない方は、落ちた筋力の回復するトレーニングを行います。

筋力低下のまま復帰すると、「膝くずれ」を起こすことが多く、何度も膝くずれを繰り返していると、関節内をさらに痛め、痛みや腫れの原因となってしまいます。

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特に競技レベルのスポーツに復帰を希望する方は、早期に外科的対応が必要かもしれません。

ACLのみ痛んでいる選手のスポーツ復帰率は約6割ですが、半月板や関節軟骨がすでに傷んでいる方の復帰率は約4割との報告もあります。

Q2:手術はどうしても必要でしょうか?

ACL損傷患者さんで手術がどうしても必要なのは、早期または、競技スポーツへの復帰を希望する方。

日常生活レベルへの復帰であれば手術を見送られる方もおられます。

しかし、「膝くずれや膝不安感」などで自分の希望する日常生活を維持できない場合(仕事が続けられない、趣味が楽しめない)が多くなってしまうかもしれません。

Q3:筋肉を鍛えれば手術せずにすみますか?

靱帯と筋肉は役割が違うので、筋肉を鍛えただけでは「膝くずれ」を止めることは出来ないと考えられます。

ただし、怪我をしたために落ちた筋力を回復するトレーニングは非常に重要。

ACLがまだ機能していても、筋力低下によって膝くずれを起こすことがあります。したがって、筋力強化は極めて大切ですが、筋力だけで靱帯の機能を完全に補うことは出来ないということになります。

Q4:前十字靭帯損傷した後の経過は?

急性期を過ぎて、数週間経つと、痛みと腫れが軽減してきます。

しかし、ACLの正常な緊張がなくなると、関節の安定性が損なわれ、膝が容易に「ガクッ」と外れるような「 “膝崩れ(Giving Way)”」 という現象が生じます。

ACLの部分的損傷で 、膝崩れをほとんど生じない方もいますが、損傷したACLが自然経過中で修復することは極めて難しいと考えられています。

スポーツ活動や日常生活動作で「弛さ」を感じたり「膝崩れ(Giving Way)」を起こしてしまった場合、そのまま放置すると関節内の半月板(はんげつばん)や軟骨(なんこつ)を損傷してしまうリスクが高くなります。

半月板や軟骨が痛んでくる病気は変形性膝関節症といって、一般的には関節軟骨がすり減って痛む高齢者に多い疾患とされています。しかし、ACLの機能不全によって若年者でも生じることがあり、進行してしまうと日常生活動作にも大きな支障をきたしてしまいます。

Q5:放置していたらどうなるの?、、、ですか?

くりかえしになりますが、、、合併する損傷(半月板や関節軟骨)がなければ約1ヵ月ほどで、自然に腫れも痛みも少なくなります、、、。

治ったかのように思われますが、この靭帯は、前述したように自然治癒しにくいため、放置すると関節に不安定性が生じてきます。
そのままスポーツ活動を続けていると頻繁に「膝崩れ」を起こすようになり、半月板や関節軟骨の損傷も進行し、将来的に変形性膝関節症になります。

保存療法と外科療法について

1)保存療法

受傷早期であれば、断裂のしかたによっては装具による保存療法で靭帯が修復してくるケースが、本当に稀にあるようです。前十字靭帯損傷 自然治癒 – Google Scholar

2)外科療法

ACL損傷の大半は、受傷後、膝関節に不安定性が出てくるので、若い人や今後スポーツ活動を希望する人は外科的対応が必要かもしれません、、、。
(成長期の小学生や、すでに変形性膝関節症が進行している高齢者は手術治療の成績に限界があるため、一般的にはACL再建術の対象になりません)

我が国でもサッカー、ラグビー、アメフット、バスケットボール等の選手で、受傷後早期に外科対応し、術後に競技復帰し、活躍し、現役継続している選手もいます。

Q1:再建術の時期はいつ頃が良いか?

これも繰り返しになりますが、ACL損傷後は半月板損傷の合併が比較的高頻度にみられます。

半月板損傷合併の発生リスクは受傷後 26週から高まり、期間がさらに長くなると関節軟骨損傷を生じる可能性も高まるといわれています。

受傷後3ヵ月以内にACL再建を行うことで半月板損傷の合併を抑えられるため、ACL再建は受傷後早期(3∼6ヵ月以内)に行うことが推奨されています。

Q2:ACL術前リハビリは必要か?

必要です!

術前から、十分に・しっかりとリハビリテーション・筋トレを行う事で膝関節の機能はさらに改善します。

【ポイント】

・炎症症状の管理を行う

・損傷した靭帯に負担をかけない動作を習得する

・膝関節の拘縮を作らない

・損傷靭帯に負荷のかからない範囲で筋力の維持、改善を図る

術前に膝周囲筋力が保たれていると、術後のスポーツ復帰や 膝機能評価において良好な結果を得られることが多いです。

一般的に、ACL損傷後のスポーツ復帰は約 280日(9~10ヶ月)と報告されています 。 

Q3:ACL再建術後のリハビリ

ACL再建術後のリハビリには段階があり、大まかには①術後0〜3ヶ月、②術後3〜6ヶ月、③術後6ヶ月以降、に分かれることが多いようです。(それぞれの状況や戻りたいスポーツ、そして術後の経過に合わせて内容は変わりますので、ここでは概要のみ)

南紀鍼灸接骨院でACL術後のリハビリを担当する時は、担当医師からの指示に従って行います。

①術後0〜3ヶ月

術前術後に低下した筋肉強化を行います。再建後靭帯がまだ安定せず、走ったりはできない時期です。

過度な負担のかからない安全な動作によって筋力強化を行い、膝の可動域を回復させます。

②術後3〜6ヶ月

すこし複雑な運動の訓練を追加します(協調運動)。                      再建した靭帯に過度な負荷がかかりすぎないように、徐々にジョギングからスピードをあげたランニングを行い、ステップ動作やカット動作、バランス訓練なども段階的に取り入れます。

③術後6ヶ月〜

復帰したい種目に必要とされる動きを想定した動作訓練をしていきます。

また、”靭帯が切れやすい”着地方法や走り方をしている方がいるので、動きの癖も修正していきます。

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再断裂の確率は5~10%と言われているので、この時期はその確率をなるべく低くしていくための大事な期間。

ケガを後ろ向きにとらえるのではなく、ケガをしたからこそ靭帯に向き合うことが出来る、より良い状態を目指していく時間と捉え、ケガ前よりも良い状態を目指して貰えるとうれしいです。

4:ACL「術後経過」おおまかな目安について

(各種計測に関しては、手術後の病院で定期的に行って頂きます)

1)術後翌日

固定装具、足首・足指の筋トレ、

松葉杖歩行(術側に体重をかけない)

2)術後3日 

固定装具、機械による他動膝屈伸運動、

膝周囲および膝以外の筋トレ、松葉づえ歩行(足先で体重の5~10kg荷重)

3)術後1週間 

固定装具変更、他動および自動膝屈伸運動、膝周囲および膝以外の筋トレ、

松葉づえ歩行(体重の1/3~2/3荷重)

4)術後2週間

装具、他動および自動膝屈伸運動、膝周囲および膝以外の筋トレ、

松葉杖歩行(全体重荷重)

5)術後3週間

装具、自動膝屈伸運動、膝周囲および膝以外の筋トレ、

通常歩行(全体重荷重)

6)術後1か月

スクワット、

ランジなど筋トレ

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目標;腫れ・熱感など炎症症状が無い。膝が真っすぐ伸びる・110度まで曲がる。

大腿四頭筋(特に内側)に力が入り、パテラが持ち上げられる。

7)術後2か月

片足スクワット、バランストレーニングなど。                         目標;両足スクワットが安定している。                            ランジ・ニーベントウオークが安定している。

8)術後3か月

ジャンプ、ランニング。                                    目標;片足1/4スクワットが10回以上出来る。

片足つま先立ち運動が25回以上出来る。大腿計左右差5㎝以下。

9)術後4か月

ダッシュ、応用動作運動

目標;両足ジャンプで前後・左右に飛べる。

10)術後5か月

ダッシュ、応用動作運動

目標;片足ジャンプで前後・左右に飛べる。

11)術後6か月

競技別運動。

目標;片足前方ジャンプで身長の80%以上飛べる。

12)術後7か月

競技別運動

目標;片足前方ジャンプで身長の90%以上飛べる。

13)術後8か月

スポーツ復帰準備

目標;片足前方ジャンプで身長と同程度飛べる。三段跳びが出来る。

14)術後9~10か月

スポーツ復帰

まとめ

手術をしないで、日常生活に戻りたい場合、、、保存療法を行う(外科的対応しない)事も、、、、。

もしACL損傷後、スポーツ活動の継続を希望しない、激しい活動をしない等、膝への負荷が強くない生活を送るという場合には手術をしないという選択肢があるかもそれません、、、。

ただし、ACLは損傷したままなので、膝がガクッと「”膝くずれ”」を繰り返すリスクはあり、それによって軟骨や半月板を痛めてしまう可能性が大きいです。

また、長年の繰り返しにより変形性膝関節症に発展する恐れもあります。

現在、ACL再建術はかなり進歩し普及してきていて、日本代表としてワールドカップで活躍した選手のように両膝ACLが断裂しても,きちんとした手術とリハビリによって素晴らしいパフォーマンスを発揮する選手が存在するのも事実との事。

施術する側として、私見ですが、、、、、スポーツ・運動の継続を希望される方は、程度にかかわらず外科的対応を考慮したほうが良いかもしれません。

なかなか改善しない「痛みや症状」是非ご相談ください。

御役に立てるとうれしいです! 

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痛いのや辛いのは本人にしか分からへんのです。

南紀鍼灸接骨院の場所は、この画像が目印! #接骨院の前は太平洋

本州最南端:和歌山:串本:国道42号線沿い:駐車場大きい:西向中学校さんの西側:お食事処「たい島」さん民宿 たい島 (taijima.jp)の東側です。

#ロケットが飛んでいくが見える鍼灸接骨院 (予定です)

ロケット|串本町 (town.kushimoto.wakayama.jp)和歌山のロケット発射 バスで見学場へ、駐車場確保(産経新聞) – Yahoo!ニュース

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